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吉本興業の岡本社長はまだ記者会見に出るべきでなかった

議論も事実もすべて出揃ってから出ても十分間に合ったはず

毎日これでもかとニュースの話題になる吉本興業の話。

だんだん吉本興業が反社会的なんじゃないかという話になってきてたりして。

もちろん契約書がなかったりギャラが数百円だったり「芸の道」の厳しいことはわかるのですが、できることならこういう機会を通じて「毅然と正しく楽しい」お笑いになってほしいなとも思いつつ。

気になることも多々あれど一番気になっているのが「なぜ吉本興業の岡本社長はあんなにさっさと公の場に出てきたのか」です。

社長たるものがあんな時期にあんなふうに出て来るのは一番悪いタイミングだった、と私は思っています。今日はそんな話を。

社長は最後に出てきて頭を下げるだけでいい

以前私はこんな話を書いたことがあります。

クレーム対応を上司があなたに任せる理由をお教えします

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これは以前私がとある会社でトラブル対応をしていた時に思ったことを書いたものなのですが、その中に「クレームを受け止める壁は多いほうがいい」というものがあります。

クレームの内容によってはお金の問題やコンプライスの問題など重大な局面を迎えてしまうことがあります。

部下が話を聞いてるうちは「この部分は上司と相談の上」などと一旦持ち帰ることもできますが、上司が同行した場合、その場で決断しなくてはならなくなる場合があります。

話が完全に解決の方向で進んでいるならば上司同行の上で最終的な解決を判断すればいいのですが、そのクレームがどう進んでいくかが決まらないところで上司が乗り込むと会社として判断を誤るケースが出てきます。

突然報告されていなかったような新事実を告げられて上司すら対応できなくなれば話はさらにその上司、重役、しいては社長まで引っぱり出される羽目になり、状況はどんどん不利になることも。

部下としてはたまらないかもしれませんが、上司を連れ出すのはクレーム対応の最後の最後としたほうが会社としては有利なのです。

クレームの原因などにもよりますが、上司を同行させるのはなるべく遅いタイミングのほうがいい、ということです。

トラブルが発生し、事実関係を確認、問題解決の方向がある程度定まった状態であれば直属の上司に同行してもらい頭を下げれば解決できることが多いでしょう。しかしトラブルが発生したばかりで事実関係もはっきりしていない状態で上司を連れて行っても上司も判断もできなければ決定もできず右往左往、クレームをだしたクライアントからは「あんたの上司は無能か、その上の上司を連れてこい」なんてことにも。

上司の顔に泥を塗るくらいは別に構いませんが、この場合問題は長期化しますし相手側が確実に有利になります。上司を連れ出すタイミングは結論がある程度見えてから、のほうが良いです。

さて、これを今回の吉本興業の件に照らし合わせてみると・・・なぜいきなり社長が出てきたのかが不思議でしょうがないのです。

広報担当がいったん受けるべきだった

数千人の芸人をかかえる吉本興業であれば組織としてももっときちんとしておくべきだったでしょう。

たとえばこういった問題が起きたときに初動ではリスク管理のできる人と弁護士が芸人と面談し、事実確認をしておけば「録音してへんやろな」などという馬鹿げた(?)話にはならなかったでしょう。

どんなトラブルも一番大事なのは「事実をまず明らかにして、そこから解決方法を考えていく」こと。今回の岡本社長が出てきたタイミングは「事実関係すらはっきりしていない、社内の状態も方向性もはっきりしていない状態でいきなり社長が出てきて中途半端なカンニングペーパーを読んだだけ」になってしまったのです。

もし私が吉本興業のリスク管理をしているならこうしてすすめるでしょう。

  1. お金を受け取った事実、顛末に関してリスク管理が芸人から聞き取り(社長には会わせない)
  2. 社内で対応を協議(ここでは社長は一切面談させない)ある程度の方向だし
  3. 広報担当またはリスク管理で記者会見「こういう事実がありました」芸人への処罰などについては詳細を確認した上で対応、と一旦記者会見は終了
  4. 記者会見での反応などを確認しつつ社内で解決への方向だし
  5. リスク管理と弁護士で処罰の程度などを決定、上司へ報告→社長への決裁
  6. 広報担当もしくは重役レベルでの記者会見「芸人への処罰と今後についての社内対応」
  7. 事態が沈静化の方向であればこのまま終了、社長の記者会見はなし。別方向で問題が拡大していくのならリスク管理から重役クラスで対応
  8. 完全に問題が沈静化するときに社長が少しだけ顔をだすか出さないか、で収束

岡本社長さん・・・早く出過ぎました。問題はまだほんの序盤だったのに。もともと契約書がないなどコンプライアンス上の問題を抱えている吉本興業であればこういう事件があればそのあたりにまでチェックが入るのは目に見えていたのに力ずくで押さえようとしたのがダメだったのでしょう。

ここで岡本社長が出てきてしまったのでいまさら広報担当や弁護士がフォローしたところで「社長以下が何か言ってる」くらいにしか受け止めてもらうことができず社長か会長が出てくるしか解決できなくなってしまっています。

大崎会長は絶対に記者会見させてはいけない

今回の騒動で岡本社長の力では解決できない、逆に岡本社長がこの問題を炎上させてしまったことになっています。では今回の問題、収束させるなら誰か。大崎会長の名前が出ていますが絶対にまだ記者会見などで顔を出させてはいけません。

それはもう後ろがないからです。ここで失敗すれば会長も社長も重役も総替えしなくてはならなくなります。誰も責任が取れなくなるのですから。

「冗談で言ったつもりだった」とか笑えないギャグを言っていないで事実関係を100%明らかにし、社内で議論を重ね「このように解決しました」というストーリーまで出して社長が出てくるべきでしょう。

部下の責任は上司が取るべきだ、と私は思っていますが、それには部下は事実関係を明らかにし上司に報告する義務がありますし、それに対してきちんと上司はストーリーを作るべきでしょう。

そういうものが欠落していたからこんな「笑うに笑えない」企業として恥を晒すことになったのでは、と私は思っています。

吉本興業のお笑いにはずっと楽しい思いをさせてもらってきたからこそ、きれいにさっぱりした上で再出発してほしいなと考えています。誰が悪い、誰が責任を取る、ではなくて。

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