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あれこれやそれこれ

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『「一見さんお断り」の勝ち残り経営』の読書レビュー。単なる京都本ではなかった!

「一見さんお断り」に隠れている様々な経営哲学

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レビュープラスさんから献本頂きました。

さて、「一見さんお断り」と聞くとどんな事を想像するでしょうか。

  • お高く止まっている
  • 伝統や格式
  • お茶席、芸子さん、舞妓さん
  • 京都、京都のいけず文化

こんなところが出てくる方が多いのではないでしょうか。確かにそういった考え方も多いでしょうし、京都の「いけず」なところを取り扱った本なども多いです。

実際、京都で仕事をしていると沢山の「京都人」と関わるのですが、本やテレビでよく出てくるような「表と裏の顔」がある人というのはあんまりいなくって(あんまり、と言っておきます笑)はっきり言わないことで相手の顔を立てる、それとなく気づかせることで恥をかかせないといった「相手に対する配慮」というものがあるんじゃないかと思います。

さて、この本のレビューをすすめられた時に「どうせまたいつもの京都本、もしくは一見さんお断りを適当に経営とくっつけてウケを狙ったしょうもない本」という勝手なイメージを持っていました。父方は京都人ですし私の仕事も京都に関するもの、ということで「もし適当なエセ京都本ならレビュープラスさんの顔もあるけど好き勝手書いてやろう」と企んでいたわけです。

さて、そんなことで本が到着し、読み始めました。むむむ。

「一見さんお断り」を続ける本当の理由

一見さんお断りというのは「客を選ぶ」ということ。どんどん客を受け入れれば売上も利益も拡大するはずなのに、それに逆らって「閉鎖的、排他的」な経営をすることです。古いお店ではそれを300年以上も続けていますが経営難になることもなく、赤字が出るわけでなく、健全な経営を続けています。

逆に言えば「売上や利益を拡大するために客をどんどん受け入れる」事をしなかったからこそ続けていくことが出来ている、それらをしないことで逆に生まれる様々なメリットを最大限活かすことが長期安定の経営に結びついていると考えることができます。

一見さんお断り、は顧客満足を最大の目的にしている

お茶屋さんの目的というのは「顧客が主催する宴会をお茶屋の芸舞妓、お座敷、料理などをによって大成功させること」です。一見さんのような「どんなもてなしをしたら良いかわからないので適当に料理を出して芸姑さんにお座敷に出てもらって適当に舞を疲労してもらってお酌してもらえばいい」という適当なもてなしでは目的を完遂することができないのです。

そのためには最大限顧客を知ることが重要です。どんな料理を出し、どんな舞を振る舞い、どんな時間を過ごしてもらうのが最大のもてなしになるかを徹底的に追求します。支払いは掛け払いとし、顧客が連れてきた接待相手の前で財布を取り出すような振る舞いを絶対にさせませんし、送迎のタクシー代からお茶屋を出た後に行くお店の支払い、自宅に着くまでのタクシー代まですべてお茶屋が立て替えて請求書をおこします。

お茶屋と顧客の抜群の信頼関係こそが双方にとって必要なことであり、それらがあってこそ初めて共通の目的「顧客の求めている最高のもてなしをする」事につながります。

価格に対する考え方

お茶屋も一般企業と同じように「顧客の満足を売る」仕事です。そこには一見さんお断りを含む「絶対的顧客満足」のためのありとあらゆることが経営方針として盛り込まれています。が、そこには価格競争という概念がありません。

「一見さんお断り」以外にも「お茶屋は街にひとつ」という顧客が守るべきルールがあります。これは京都に5つある花街それぞれに1つしか正規顧客になれないというものです。例えば花街の1つ「先斗町」の中でいくつも通いのお茶屋などを持つことが出来ないのです。そこには価格競争を防ぐことと同時に1つに絞ることでその一軒が最高のもてなしをすることにつながります。

著者の視点

この本の著者は公認会計士。お茶屋というものを企業として捉えた時、そこにある顧客満足の姿勢や経営方針、コンプライアンスや個人情報厳守、舞芸姑の人材育成などを「企業を長期安定させていくための経営ノウハウ」という目で見ています。

そこにお茶屋、料理や、芸舞妓の実際を絡めることで「ちょっと違った視点」が生まれるのが実に面白いです。

感想

この本は面白かったです。京都のお茶屋という「普段目にすることが出来ない世界」にも300年以上つづく経営ノウハウがあり、その末端として「一見さんお断り」があったということにこの本を読んで初めて気が付きました。

実際私も一度だけお茶屋に連れて行ってもらったことがありましたが、味がわからないくらい緊張したのをお酌してくださった芸姑さんに暖かく接して頂いたおかげで和むことができ、お座敷遊びで大笑いと楽しい時間を過ごすことが出来たのを覚えています。

えっと、あれですよ。虎虎。

youtu.be

美味しい料理を食べるだけが目的ではなく、
芸姑さんと遊ぶことが目的なのではなく、
ただひたすら楽しい時間を過ごしてもらうことに最大の努力をする

ただそのための経営方針の1つが「一見さんお断り」なのですね。

読んでみたい方はこちらからどうぞ

レビュープラスさんについて

この本はレビュープラスさんに献本いただきました。

利用の流れはこんな感じ。もちろん無料で本を頂くことが出来ます。その代わり締め切りがあってその日までにレビューをブログ等にアップする必要があります。

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利用の流れ - レビュープラス レビュー専門ブログネットワーク