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あれこれやそれこれ

雑記系ブログのさらなる高みを目指すブログ

ベルボーイ経験者が思う高畑裕太事件と男女雇用機会均等法のこと

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この記事を拝見してのひとこと。先に言っておきたいのはタイトルが偏りすぎに思います。「ホテル側に大きな責任がある」は「ホテル側にも責任がある」くらいにしないと電車で痴漢をした犯人より短いスカートを履いて電車に乗った女性のほうがどうの、になる気が。

www.kinoblo.com

大学生の時にベルボーイをしていました。

大学生の時にアルバイトで中堅ホテルチェーンのベルボーイをしていました。早朝から昼まで、朝から夕方までの日勤、夕方から夜23時くらいまでの3シフトから選択。僕はだいたい学校が終わってから夕方に職場について従業員食堂で食事(完全補助)してから働いていました。大学生にベルボーイの仕事は是非オススメしたい。ちょっと脱線しますが。

  • 生きた外国語を聞ける、話せること
    フロントには英語ペラペラのスタッフもいるし、外国からの観光客はまさに生きた英語。発音を教えてもらったことも何度もありました。ホテル内の説明はマニュアルが用意されているし、最低限それが話せればOKでした。
  • ビジネスマナーが身につくこと
    観光客もいればビジネスホテルとして利用される人もいたので、ビジネスマナーについてはしっかり教育されました。言葉遣いや身振り手振り、現金の取り扱い方やトラブル発生時の報連相、など。
  • さまざまな事件がおきること
    オペレーション以外の事がたくさん発生します。最初は都度フロントに指示を仰いだりしていましたが、経験の積み重ねによって自分で対応できることも増えてきます(もちろん判断してはいけないこともありますが)。色々なことに対応しているうちにリスク回避や発言をメモする、わかりやすく状況を説明する事などのスキルが格段にあがります。

1年生の春からはじめて4年生までずっと続けたことで時給も大きく上がりましたし、役職とまではいきませんが他のアルバイトの指導などもしていました。もちろん、「たかがアルバイトじゃないか」といいたい人もいるかもしれませんが、要求される仕事にはアルバイトも正社員もありませんでした。ホテルマンとして、接客のプロとしてホテルの看板を背負って仕事はしたつもりです。

さて、そんなベルボーイ経験者が見た今回の件とそれらに絡む法律の話。

女性スタッフの1人夜勤はもちろん反対

ワンオペレーション、略してワンオペという言葉があります。

人手が不足する時間帯(特に深夜)を中心に、外食チェーン店などで従業員を1人しか置かず、全ての労働をこなす行為をさす。このワンオペが世間で注目されたのは、ゼンショーホールディングスの牛丼専門チェーン店「すき家」の事例である。

ワンオペ - Wikipedia

 さまざまなサービスを提供するにあたりコストダウンでまず考えられるのは人件費の節減です。たとえばホテルの夜勤スタッフを1人にするか2人にするかで経費は大きくかわります(なんせ年間365日稼働していますので)。

さらに宿泊客に対してはかなりしっかりとマニュアルを作っているので、ビジネスホテルになれば「チェックインとチェックアウトしかフロントスタッフと話をしない」という部分もあります。しかし、客とすれば一晩を過ごす場所、とんでもない要求をしてくる客もいれば、普段と違う環境からお酒を飲み過ぎて迷惑を掛ける客などもいます。

そういうトラブルが少ない時間帯、例えばチェックインが多くなる夕方から21時ごろまでとチェックアウトが多くなる朝7時から9時頃までは混雑はしますが1人でも間に合うような気もします。トラブルが入るととても1人では対応できませんが。

昔は女性の深夜労働や時間外労働というのは一部の監督者などを除き原則禁止されていました。それが平成11年4月1日に改定された法律で制限が廃止されます。

 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律こと「男女雇用機会均等法」です。

第1条 この法律は、法の下の平等を保障する日本国憲法の理念にのっとり雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図るとともに、女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進することを目的とする。

(基本的理念)
第2条 この法律においては、女性労働者が性別により差別されることなく、かつ、母性を尊重されつつ充実した職業生活を営むことができるようにすることをその基本的理念とする。
2 事業主並びに国及び地方公共団体は、前項に規定する基本的理念に従って、女性労働者の職業生活の充実が図られるように努めなければならない。

雇用、労働に対しては性別による差別はしてはならないとはっきり打ち出したことで働く女性の地位を安定させた事は間違いありませんが、逆に言えば今回のような「深夜勤務を女性もして当然」という状況を生み出したともいえます。

実際、こうして女性が深夜にフロントスタッフとして働き、なおかつ様々なトラブルが起こりかねないホテルスタッフでワンオペをしていたのですから。そしてこの事件。

ベルボーイをしていた私からすれば、「女性がワンオペで深夜シフト、当直に入る」なんてありえません。これは女性差別ではなく、こういった性的な事件が起こる可能性が十分考えられるからです。

逆にこのホテルの経営陣はこういう事件が起こる可能性を少しでも考えていなかったのでしょうか。申し訳ないのですが「考えてもみなかった」はまずありえないと思います。

私の体験した事例

男性5名くらいの若い観光客。ホテルのフロントスタッフ女性に執拗に「勤務時間は何時まで」「どこに住んでいる」「夜遊びに行こう」と部屋から電話が入る。お答え出来ませんを繰り返しているうち、「お金を両替しに来て欲しい」と依頼が入ります。

結局両替分のお金を持ち女性スタッフが部屋に行くことに。今思うとなぜこれが行われたか思い出せないのですが、女性スタッフから相談されとりあえず同行することに。

フロントからエマージェンシーキーを借りていきます。これは内鍵を掛けられた場合でも外側から開けることが出来る緊急用の鍵。部屋の前でノックをする女性スタッフの後ろには当然私が付いています。

該当する部屋を訪問すると部屋には男性客が全員そろっています。ナンパ目的だったのか何だったのかはわからないままですが、私がいるのをみて明らかに残念がっていました。両替をした際に「フロント以外での現金の取り扱いについては複数名で対応することになっていますので」と釘をさしておきます。

こんなことがザラにあります。気が緩む客と丁寧に笑顔で応対するスタッフ。勘違いする客が出てきてもおかしくはないのです。

女性だけが危険なわけではない

男性ベルボーイであっても危険がまったくないわけではないです。たとえ客とはいえ断ることは断りますし、逃げるときは逃げるのです。特に同性の方で同性の好きな方(すみませんややこしくて)は雰囲気でわかります。

現役のホテルマンの方がもしやっていないのであれば是非やってほしいのが「内鍵出し」または「フック出し」(と呼んでいました)で部屋のドアを完全に閉めないことです。

ドアのノブで施錠するタイプの鍵は「ドアが閉まる前に施錠動作をすること」で内鍵がドアから飛び出し、ドアを半ドアの状態にすることが出来ます。画像著作権の関係でAmazonのリンクを貼りますが、施錠したときに飛び出す部分がドアに引っかかることでドアが閉まりきることを防ぐことができます。

 ホテルなら写真のようなドアロックも付いていることが多いので、これをドアが閉まる前に出してしまうことで半ドアをキープできます。

宿泊客にくつろいでもらうために客室というのは防音をしっかりしていて、客室ドアも防音に十分配慮されていたりします。逆にこれが怖いのですが。完全にドアを閉められてしまうと叫び声なども聞き取りにくいくらいまで音量が下がってしまうことが多いです。というのもドアと床の間はメッセージカードを一枚滑りこませることが出来る程度の数ミリ程度しか隙間もあいていませんので。

ところがこういう「内鍵出し」や「フック出し」をしてドアを半ドア状態にしておくことで部屋から出る音量というのはかなり大きくすることができますし、部屋が完全に密室になっていない、と相手にアピールすることができます。

もし女性で諸事情によって誰かにホテルの部屋まで呼ばれた場合、万が一の事を考えるのであればこの方法を使って下さい。逃げる場合も逃げやすいです。ドアノブをひねって開けるより、ドアを引っ張るだけで部屋から出られますので。

一番大事なのは「危険があるのにホテルの部屋に一人で行かないこと」です。ホテルなら面会用の場所もあったりしますので、是非使うべきです(夜中でフロントが照明を落としていても面会で使いたいと言えば照明はつけてくれます)

結局は犯人が間違いなく悪い

客という立場を使い女性スタッフを呼び寄せ、部屋に連れ込み乱暴を働いたという犯人が一番悪いのです。親が芸能人であろうがなかろうが関係なく、罪は罪ですから。

ただ、男女雇用機会均等法で女性が深夜勤務を行うことが出来るようになっていること、経費節減のためにワンオペが飲食店以外にも浸透してきていることについては今件を通じてもっと大きく取り上げられるべきだと思います。

ただし、男女雇用機会均等法で女性でも男性並に仕事をさせられる、というわけではないのでもう少しこの機会に勉強しておきましょう。

男女雇用機会均等法はもう少し掘り下げて学んで欲しい

時間があるときにじっくり眺めて欲しいです、とくに経営者の人。

www.mhlw.go.jp

「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則」の中に

第十三条  事業主は、女性労働者の職業生活の充実を図るため、当分の間、女性労働者を深夜業に従事させる場合には、通勤及び業務の遂行の際における当該女性労働者の安全の確保に必要な措置を講ずるように努めるものとする。

というものがあります。これをわかりやすく説明したもので 男女雇用機会均等法のあらまし というガイドブックがあります(厚生労働省作成)

その中でこの13条についての指針について抜き出します。

 女性労働者は男性労働者と同様に深夜業に従事することが可能であり、女性が夜間に通勤したり、夜間、人気のない職場で業務を遂行しなければならないことも考えられます。
 このため、事業主は、深夜業に従事する女性労働者の通勤及び業務の遂行の際における防犯面からの安全を確保することが必要です。また、既に在職している女性労働者を新たに深夜業に従事させる場合には、子どもの養育又は家族の介護などの事情に配慮することが求められます。
 具体的に事業主が講ずるべき措置については、「深夜業に従事する女性労働者の就業環境等の整備に関する指針」(以下「女性の就業環境指針」)及び関係法令により、以下のように定められています。

(1)通勤及び業務の遂行の際における安全の確保
 送迎バスの運行、公共交通機関の運行時間に配慮した勤務時間の設定、従業員駐車場の防犯灯の整備、防犯ベルの貸与等を行うことにより、深夜業に従事する女性労働者の通勤の際における安全を確保するよう努めること。
 また、防犯上の観点から、深夜業に従事する女性労働者が一人で作業をすることを避けるよう努めること。 (女性の就業環境指針2の(1))
(2)子の養育又は家族の介護等の事情に関する配慮
 雇用する女性労働者を新たに深夜業に従事させようとする場合には、子の養育又は家族の介護、健康等に関する事情を聴くこと等について配慮するよう努めること。(女性の就業環境指針2の⑵)
 また、子の養育又は家族の介護を行う一定範囲の労働者が請求した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、深夜業をさせてはならないこと。(育児・介護休業法第 19 条第1項、第 20 条、女性の就業環境指針2の(2))

 雇用機会は均等でもこのように女性労働者の安全はきちんと確保するよう求められています。防犯上深夜の女性のワンオペについてはわざわざ明文化されていますので。

これを「経費節減」「低価格」で誤魔化されないよう気をつけていきたいところです。

最後に

「信号は誰かが死ぬまで設置されない」「なんでこんな事件が起こってしまったのか、といいつつ風化する事件」「芸能人の犯罪は格好の餌」

テレビのニュースでは繰り返し犯人の母親ばかりクローズアップされているようですが、本当はこの事件の根底にあるものをもっと掘り下げるべきだと思うんです。私には「コストダウンに隠されたワンオペが招いた憎むべき事件」。二度と起こらないようホテル業界は考えていくべきだと思います。

 しかし高畑淳子さんの謝罪会見は酷かった。22歳の大人が犯罪を起こしてなぜここまで母親が謝罪しなくてはならないのか。

高畑淳子さん会見で息子の性癖を問う記者。「報道の自由」の範囲とは

これが「視聴者が知りたい情報だろう」という錯覚。聞き出したことを字幕スーパーにしてボードに書いて繰り返し繰り返し「興味を煽る」のでしょう。息子への愛情は単なるネタではない。報道の自由ってなに?

2016/08/27 07:03