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あれこれやそれこれ

雑記系ブログのさらなる高みを目指すブログ

テフロン加工はNGなんて真っ赤なウソ。「とりあえずシェア」の恐ろしさ

☆雑感☆ ☆雑感☆-思うがまま ☆雑感☆-SNS ☆雑感☆-真面目な話

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Facebookでシェアされてるのを見つけてびっくりしたので記事にしておきます。

phytochemical.net

焦げ付かないフライパンなどに使われているフッ素樹脂(テフロン)に有害性が認められた、テフロンコーティングされているフライパンなどは今すぐ捨てて、私の推奨する調理器具を使え、というお話。Facebookで2万以上シェアされてるとかほんまビックリします。

以降、トータル3000文字ちょっと越え。お時間のあるときにどーぞ。

この記事の主張はこうです。

  • テフロンの製造工程で発生するPFOAという物質に有害性があるということでデュポンが訴えられた
  • PFOAはフッ素樹脂(テフロン)のことであり、一般的なフライパンにすべて使われている
  • テフロン加工でなくてもフッ素加工されているフライパンはどれも死の調理器具だ
  • テフロン加工されているものは今すぐ捨てるべき
  • 当サイトがすすめる~という無水鍋を買って健康を取り戻そう

知ってる人なら一笑に付して終わりのはずなんだけど、知らない人はすっかり恐れおののいてシェアしまくっているという。いやいや、ほんまありえないです。

※大前提のお話
 テフロンはデュポンから独立した米の会社ケマーズ社の登録商標でフッ素樹脂を指します。他にもフッ素樹脂を作っているメーカーはたくさんあって後述しますが、ダイキン工業はネオフロンやダイフロン、旭硝子はフルオンやサイトップという名称でフッ素樹脂を製造しています。

この辺りは中興化成工業さんのページが詳しいです。

www.chukoh.co.jp

そもそも、PFOAはフッ素樹脂ではない

そもそもPFOAという商材(笑)を使っていながらもPFOAの事をまったくわかっていない。そもそもPFOAは製造過程で発生するガスとかのようなシロモノではないんです。

PFOAはPerfluorooctanoic acid(パーフルオロオクタン酸;C7F15COOH)の頭字語で、一般にパーフルオロオクタン酸およびその塩類(アンモニウム塩、アルカリ金属塩;C7F15COOX、XはNH4、Na、Kなど)を含む化合物の総称として用いられています。また炭素(C)が8個含まれていることからC8と呼ばれることもあります。
PFOAは、半導体・情報通信・自動車・航空産業・化学工業・調理用器具コーティングなど、幅広い用途で使用される一部のフッ素樹脂・ゴム製品の製造に必要な助剤として使用されていました。

 フッ素化学製品におけるPFOA全廃に向けた進捗状況 | ダイキン工業株式会社

 PFOAは製造過程でできるものではなく、フッ素樹脂を製造するときに補助剤として使用されていたもので、自然界には存在しない人工的な化学物質。科学的に安定性が高いので自然界で分解されたりすることがないこと、体内に入ると出にくい物質であることから毒性が高いのではないか、という問題が以前から言われていました。

そこで2006年にフッ素樹脂製造メーカー8社がアメリカ環境保護局の提案によるスチュワードシッププログラムとよばれるPFOAの自主削除プログラムに参加し、2015年に全廃という目標のもと取り組みを始めました。

デュポン
3M/ダイネオン
旭硝子
ソルベイ・ソレキシス
アルケマ
クラリアント
チバ・スペシャルティー・ケミカル
ダイキン工業

の8社、デュポンも当然参加していました。

www.daikin.co.jp

ダイキン工業さんの説明がわかりやすいです。ただ、ここにもあるように「フッ素樹脂製造でのPFOAは全廃できたけど、撥水剤の中に微量に含まれるから若干量含まれていますよ、という説明がなされています。デュポンも同様、99.9%は廃止出来たようですが、一部で残ってはいるようです。

一般的なフライパンにPFOAなんて使われていない

そしてこんな主張が始まります。

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↑面倒くさいからキャプチャね。

なぜなら、と言われても「PFOAはフッ素樹脂のこと」ではないのは先述。
フッ素樹脂が一般的なフライパンすべてに使用されている、は初耳。だんだんとこのページ、トンデモ本のようになってきますから(笑)

そもそもフライパンというのは古代ローマ帝国の頃から使われていて現在に続く、まさに「調理器具界のキングカズ」です。

古代ローマのフライパン: ケペル先生のブログ

それは冗談だとしても、フライパンって材質がいろいろあるのよ。

  • アルミ
  • ステンレス
  • チタン
  • セラミック

この中で、テフロン加工=フッ素樹脂加工されているのはほぼアルミだけ。アルミのフライパンは熱伝導が良くて軽いし値段も安い。でも一番の欠点「こびりつきやすい」ことさえテフロンコーティングでカバーさえすれば一番アルミのフライパンが便利ということです。調理内容などで他の材質を使う人もいるんでしょうけど、中華鍋とかは強火にするから鉄なんでしょうね。

そしてまた仰天するひとこと。

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テフロン加工でなくてもフッ素加工されているフライパン・・・

www.y-skt.co.jp

そもそも、テフロンコーティングというのは金属表面にテフロン(フッ素)をコーティングすることであって、そのテフロン自体にもたくさんの種類があるんですよ。その中でもフライパンによく使われるのは高密度3層構造のシルバーストーン加工だったりします。あと、それより高いプラチナストーンっていうのは高密度4層、テフロンとセラミックをミックスして耐久性をあげてあるもの。(フッ素樹脂自体が柔らかくて弱いんです。だからテフロンコーティングの調理器具って剥げやすいんです)

このように、テフロン加工はフッ素加工と同じだし、金属の表面に特殊加工するものだからすべてのフライパンに使われているわけではないんです。

テフロンは毒ではない(ほぼ)

https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/f02_fluorocarbon_polymers.pdf

これは食品安全委員会なる内閣府直轄の組織がつくった文書。フッ素樹脂の毒性などについて書かれています。PTFEというテフロンの一種を360度に加熱すると有毒ガスが発生するとはありますが、それ以外に特に毒性は認められません。ただ、1960年にテフロンをデュポンが製造し始めて以来、製造工程にPFOAが使われていた時で1980年に妊娠した7人のうち2人に先天性の障がいをもった子供が生まれたという報告はありました。

が、PFOAに対する取り組みがすでに行われたのは先のとおり。

そもそもフッ素樹脂は無味無臭、耐薬品性と耐高温、非粘着性、離型性など優れた特性をもつもの、そもそも毒であるなら医療系機関で使用なんてできない。

www.packing.co.jp

フッ素樹脂の恩恵に預かっていない人なんて日本にはほぼいないと思うよ。

結局このページの管理人が言いたかったのは・・・

自分の推奨する無水鍋を売りたかった、ということでしょう。

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テフロン自体は無味無臭なのでこれ以上恥をかかないように(笑)ましてや現在市販されているテフロンコーティングのフライパンにはPFOAは含まれていません。

もちろん、テフロンコーティングされたフライパンでどんな料理をしても安全ですし、栄養も残ってて、体が美味しいと感じる味がするのでご安心下さいww

 

テフロンやナイロンなど高性能なプラスチックの世界は奥が深いんです。用途などに応じてたくさんの種類があります。ご興味があればぜひ。

エンジニアリングプラスチック (高分子先端材料One Point 8)

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最後に「僕が一番言いたかったこと」

 突然ですがこんなのも今流行ってますねー。2月22日に大地震がおきるとかなんとか。

honeysuckle.hatenablog.jp 

人間というのは弱いもので、不安や恐れ、怒りというものはつい誰かに伝えたくなります。Facebookのシェアなんてそれの最たるもの。こんな記事ですら2万人の人が友達に拡散してしまうくらいですから。

僕はこのテフロンフライパンの話を読んで「?」と思い調べました。それは僕が今までに学んだいろんなことと相反する内容だったから「?」と思えたのかもしれませんが、まずこういった「~したらシェア」だの「是非シェアしてくれ」だの「まだ~で消耗してるの」といった話は鵜呑みにしないことを勧めたいと思います。

そういった話というのはまず間違いなく「ある思惑をもって書かれている文章だから」ということ。今回のケースではテフロンの毒性うんぬんよりも「自分のアフィリエイトしている鍋を売りたい」という思惑によって書かれているようにしか思えない。

最終的にとある鍋へのサイトとAmazonの広告に繋がっていましたから。その事自体はダメだとは思いませんが、こういうあることないこと事実と虚偽と決め付けとごちゃまぜにして人を「不安、恐怖、怒り」にして人を導くのはかなり腹立たしいことです。

ネットが普及したこの世の中、情報を得ることは非常に簡単になりました。拡散することもクリック一つでいとも簡単にできます。ただ、向こうからやってくる情報が「正しいのか、間違ってるのか、拡散するべきなのか止めるべきなのか」は各それぞれがきちんと自分で考えて行うべきだと思います。

 大事に使えばテフロンコーティングのフライパンも長持ちするし、鉄のフライパンでも焦げ付かないし、結局は道具を愛することが一番。

台所道具の本―プロに教わる選び方・つきあい方のいろは

台所道具の本―プロに教わる選び方・つきあい方のいろは

 

 

2016.8.14追伸

この記事の元になりフライパンを売りたかったファイトケミカルさんはサイトを閉鎖しています。

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僕は当然だと思います。やってきたことがやってきたことですから。

良い情報を正しく、わかりやすく。そういうサイトが残っていくはずです。