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あれこれやそれこれ

雑記系ブログのさらなる高みを目指すブログ

もし司馬遼太郎がドラクエをつくったら

☆創作☆ ☆創作☆-スライム街道をゆく
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紀行文と小説の合作にてお楽しみ下さい

旅立ちのラダトーム

「アレフガルド」という国の名前を口にだすだけでもう、私は冒険に出ている気持ちになるほど、この国が好きである。浅いのか深いのかわからない海の向こうにあっけなくも目的地、竜王の城が見えてしまう、このラダトーム城はただなんとなく国の真ん中にあり、ただただのどかで本当に世界に危機が訪れていることすらわからなくなる。

「経験値稼ぎからはじめましょう」

というと、MPを無料で回復してくれるラダトーム城の老人は微笑した。お好きなように、という合図らしい。

宝物庫のあれこれを持っていきたいところだが、勇者が高名な武器を片手にスライムを数千匹殺すのもバランス上良くないことであろう。だが、ここから始まるドラゴンクエストの世界で唯一、ひのきのぼうもぬののふくも着ていない、丸裸で勇者は城から放り出される。城でもらった手付金の120Gを握りしめ、勇者はラダトームの町へ向かった。

ちなみに、70Gでかわのふくを買うよりも、ぬののふくと道具屋でりゅうのうろこを装備するほうが防御力が高くなるのは記憶にとどめたい。攻撃力2のたけざおでしばらく我慢しどうのつるぎを買う人と、とりあえず小銭をためこんぼうに買い変えるかで勇者の金銭感覚が問われる。が、よくよく考えればラダトームの町のすぐ北には小さいながらも森があるではないか。こんぼうやたけざおを買う理由がみつからぬ。

閑話休題。こんぼう、漢字では棍棒というのはただ木や獣の骨を程よい長さに切っただけの武器である。同一材質でできたものは単体棍棒、幾つかの素材を組み合わせて作ったものを複合棍棒と言う。こんぼうの頭部に金属部品などをくみつけた複合棍棒が以降「メイス」などに発展していくのだがここでは触れない。

以前、ラダトーム周辺でドラキーが頻繁に出る森の横を通りがかったことがある。アレフガルドにはドラキーが出没する森など無数にあるが、ラダトームの町を出てすぐの森が針葉樹であったのにくらべ、ロトの洞窟周辺の森は広葉樹であった。そう言われるとラダトームの近くのドラキーのしっぽの形状が尖っているのは森が針葉樹であることが関係があるかもしれないが、それが奇説であったとしてもアレフガルドという神秘の国の一つの動物の生態としてまばゆいほどの輝きをもつのである。

スライム、があらわれた

スライム、があらわれた。

勇者が出発する地域に多く生息し、旅立ちに必要な経験とわずかなお金をおとしてくれるモンスターである。毒があるわけではないが、少々の傷をあたえられることがあるので勇者の初心者は気をつけなくてはならない。

そんなスライムが、でたのである。

「面摺れがあるな」
スライムは言い終わるなり抜き打ちでのしかかって来た。
勇者はとっさに鞘でその体を受けとめる。一撃をしのいだ勇者は鞘を払い刀身を立てる。地肌は恐ろしいばかりに青く、スライムの色を受けて光っている。
(こいつは斬れる)
いや、勇者の経験とこの刀なら一閃するだけで倒せるといっていい。

余談ではあるが、スライムというのは古来より壁などの上に張り付いていて、人間や動物が真下を通った時に上から飛びかかり強烈な酸性の体液で獲物を溶かすモンスターである。本来、初心者の勇者にかわすのは難しかったと思われるのだがドラクエに関してのみ弱いモンスターとされているのは心にとどめたい。

さて、このスライム。
一撃をかわされ完全に身体がつんのめった形になった。勇者が軽く一振りした刀であっさり両断されてしまい、絶命。

「ゼリーが、ゼリーが」

とふたことまで叫んだのが資料に残っている。勇者ははにかんだように笑った。

「まだ子供だったのだ」

さて、そろそろラダトームを出てロトの洞窟に向かわなくてはならない。ともあれ、勇者は経験値2を得た。そして絶命したスライムの体液の中から金貨を1枚取り出すと懐にしまいこんだ。土にゼラチンのかおりがむせるように匂っていたという。

つづく